
TRAJECTORY
「[過去]株主至上主義 [現在]ステイクホルダー主義」
パーパス時代への軌跡
今、企業は何のための存在するのか、社会においてどのような責任を果たすのか問われる社会になってきています。
パーパスの背景にあるのは、2019年8月アメリカの主要企業が名前を連ねるロビー団体「ビジネスラウンドテーブル」が出したパーパスに関する声明です。この声明は過度な株主資本主義からの決別宣言でした。
ビジネスラウンドテーブルは企業は株主のために存在するという「株主資本主義」の立場を取り続けてきたのですが、2019年のこの声明では、企業が説明責任を負う相手は、株主に加えて、顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティを加えた5者であるとされました。


株主は、唯一絶対のステイクホルダーではなくなった瞬間でした。この声明の背景には「持続可能な成長」という視点があります。株主資本主義は短期的に利益を生み出すには適した場所です。
一方で行き過ぎた短期的利益思考は、環境問題や格差問題など社会課題を起こしました。これらの問題を無視して企業が長期的に存続することはもはや難しいという考え方が広まってきました。
この時の「企業が、株主、従業員、顧客、地域社会を含め、全てのステイクホルダーに恩恵をもたらす存在であることが、社会からの要請として高まっているのです」と述べられています。
パーパス、つまり社会的存在意義を理解するには「ステイクホルダー主義」を理解することが出発点となります。
パーパスは企業において同じく重要だと言われてきたビジョンやミッションとはどのように異なるのでしょうか。ビジョン、ミッションは企業がなりたい姿を一人称で表現するものであることから、その企業しか入らない「小さな船」にたとえられます。
一方、パーパスは多様なステイクホルダーが共存するあるべき世界を三人称的に描いた「大きな船」なのです。
